2015年06月02日
■ピボット
●ピボットの構成(算出方法)や意味
ピボット(Pivot:回転軸)とは、ピボットポイントを中心として価格が上下に回転(行ったり来たり)すると仮定し、前日の価格を元に、当日のサポートラインやレジスタンスラインとして機能するであろう価格を算出する短期売買用のテクニカル指標です。ピボットは別名「リアクション・トレンド・システム」とも言い、一般的には逆張りの指標として知られています。
ピボットでは、「前日の高値、安値、終値」を元に、ピボットポイントを中心として上3つ、下3つ、合計7つの価格を計算します。「前日の高値、安値、終値」を用いるのは、当日の値動きを予想するためには、前日の価格、中でも、「高値、安値、終値」の3つの値が一番参考になるであろうという発想から成り立っています。
S1、S2はサポートライン、R1、R2はレジスタンスラインですが、2つあるのはそれぞれ第一関門、第二関門としての意味があるからです。HBOP、LBOPは、そこに到達したらトレンドが発生したと判断するポイントしての意味を持っています。
なお、ピボットポイントへは約70%の確率、HBOP、LBOPへは10%未満の確率でその日のうちに到達すると言われています。
チャート上にピボットで計算された水準を表示させると上図のような位置関係になります。
右図のように、日中にピボットで算出された価格で反転したり留まったりするケースが非常に多いことから、ピボットは多くのデイトレーダーに使用されています。
●ピボットの見方
先ほど紹介したように、ピボットではHBOP、LBOPに価格が到達するとトレンド発生と判断するという特徴があり、それをトレードに利用することができます。
①LBOP<価格<HBOPのときは、レンジ相場(リアクションモード)
LBOP>価格、または、HBOP<価格のときはトレンド発生(トレンドモード)
また、ピボットは「前日の高値、安値、終値」を元に算出しているので、ピボットの各水準の間隔により、相場のボラティリティ(値動きの大きさ)を判断できます。
②ピボットの各水準の間隔が広い時はボラティリティが高い
ピボットの各水準の間隔が狭い時はボラティリティが低い
○ピボットの使い方
ここまでピボットの計算方法や見方の紹介をしてきましたが、ここでは実践的な使い方の紹介を行います。
これまでに紹介してきたように、ピボットのS1、S2はサポートライン、R1、R2はレジスタンスラインですので、逆張り的な方法で以下のように売買ポイントを決めることができます。
「エントリー」
・価格がS1、S2に到達したら買い
・価格がR1、R2に到達したら売り
「損切り」
・買いの場合、価格がエントリーポイントの下の水準(S2、LBOP)に
到達したら損切り
・売りの場合、価格がエントリーポイントの上の水準(R2、HBOP)に
到達したら損切り
「利食い」
・買いの場合、価格がエントリーポイントの上の水準(P、R1、R2、HBOP)に
到達したら利食い
・売りの場合、価格がエントリーポイントの下の水準(P、S1、S2、LBOP)に
到達したら利食い
ピボットがS1、S2に到達するということは、下落を下支えするサポートラインに到達したことを意味していますので、価格が今後反転し上昇する可能性が高いと判断して買っていきます。
逆に、ピボットがR1、R2に到達するということは、上昇の抵抗となるレジスタンスラインに到達したことを意味していますので、価格が今後反転し下落する可能性が高いと判断して売っていきます。
損切りはエントリーより不利な水準を選びますが、ピボットの基本的な使い方ではHBOP、LBOPが損切りポイントとなっています。HBOP、LBOPに到達するとトレンド発生と判断するので、逆張りのポジションは撤退すべきとの考え方から来ています。
利食いはエントリーより有利な水準から、自由に選ぶことができます。
●ウィークリーピボットについて
ここまで紹介したピボットはデイリーピボットと呼ばれるもので、前日の価格から当日のピボットを算出します。この計算に使用する価格を週足のデータに変えると、ウィークリーピボットを算出することができます。計算方法はデイリーピボットと全く同じですので割愛しますが、計算の元となる価格は前日ではなく、「前週の高値、安値、終値」になります。
ウィークリーピボットの水準は、今週1週間の値動きの中でサポートやレジスタンスとして機能することが多いので、デイリーだけでなくウィークリーピボットにも注目しておくと、利益に繋がる可能性が高まります。
●ピボットを利用したトレードルールサンプル
ここではピボットを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。
ルールは基本的に、現在動いている足の1本前を基準に判断していきます。現在動いている足で判断すると指標が変動する可能性があり、サインとして採用するには不十分だからです。
① S1、R1ラインを売買ポイントとしたルール例
買い:2本前の価格>S1で、かつ、1本前の価格≦S1の時、買いエントリー
2本前の価格<R1で、かつ、1本前の価格≧R1の時、利食いエグジット
2本前の価格>S2で、かつ、1本前の価格≦S2の時、損切りエグジット
売り:2本前の価格<R1で、かつ、1本前の価格≧R1の時、売りエントリー
2本前の価格>S1で、かつ、1本前の価格≦S1の時、利食いエグジット
2本前の価格<R2で、かつ、1本前の価格≧R2の時、損切りエグジット
① S2、R2ラインを売買ポイントとしたルール例
買い:2本前の価格>S2で、かつ、1本前の価格≦S2の時、買いエントリー
2本前の価格<Pで、かつ、1本前の価格≧Pの時、利食いエグジット
2本前の価格>LBOPで、かつ、1本前の価格≦LBOPの時、
損切りエグジット
売り:2本前の価格<R2で、かつ、1本前の価格≧R2の時、売りエントリー
2本前の価格>Pで、かつ、1本前の価格≦Pの時、利食いエグジット
2本前の価格<HBOPで、かつ、1本前の価格≧HBOPの時、
損切りエグジット
(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)