2015年03月16日

第4章 テクニカル分析実践 :ストキャスティクス

■ストキャスティクス

●ストキャスティクスの構成(算出方法)や意味

ストキャスティクス(Stochastic oscillator)とは、一定期間のレンジ(価格の幅)の中で、直近の価格がどの位置にあるかに注目することにより、相場の過熱感を知ることができるテクニカル指標です。

相場の特性として、レンジの中で価格が上昇すると、直近の価格はレンジの上の方にあることが多く、レンジの中で価格が下落すると、直近の価格はレンジの下の方にあることが多いのです。ストキャスティクスは、直近の価格が一定期間のレンジのどの位置にあるのかを数値化することにより、今の相場の状況を客観的に判断できるようにしています。

図1

ストキャスティクスでは「%K」「%D」「Slow%D」の3つの値を計算します。

「%K」がストキャスティクスの基礎となるもので、算出期間のレンジの中での直近の価格の位置を%で示しています。

5日%Kは以下のように計算します。

図3
 図2

「%D」は「%K」の移動平均、「Slow%D」は「%D」の移動平均で、それぞれ売買サインとして使いやすくするために計算されます。「%K」より「%D」、「%D」より「Slow%D」の方がなだらかな曲線になる、というだけの違いです。各種のテクニカル指標の中で、指標そのものの移動平均を求めて、さらに指標を設定する方法が多く見受けられます。これは、元の指標と移動平均とを比較することにより、元の指標の動きの傾向やその動きの分岐点を捉えやすくすることが主な目的だからと考えることができます。

上記3つの指標のうち、いずれの2つを採用して使うかによって、ストキャスティクスは2種類に分かれます。

・「%K」と「%D」:ファストストキャスティクス。サインの感度が高い

・「%D」と「Slow%D」:スローストキャスティクス。サインの感度が低い

一般的には、感度が低く、ダマシのサインが少ないスローストキャスティクスが用いられることが多いようです。

なお、「%K」「%D」「Slow%D」とも、0~100%の間を行ったり来たりしますが、それぞれ100%に近ければ、直近の価格がレンジの上の方にあることを意味します。0%に近いと、直近の価格がレンジの下の方にあることを意味します。

図4

■ストキャスティクスの見方

上記で紹介したように、ストキャスティクスが100%に近いと直近の価格がレンジの上の方にあり、0%に近いと直近の価格がレンジの下の方にあるという特徴を利用して、相場の過熱感を知ることができます。

 

・ストキャスティクス%Dが100%近く(例:80~100%)にある時は、買われすぎ

・ストキャスティクス%Dが0%近く(例:0~20%)にある時は、売られすぎ

図6

※これ以降の記述例はすべてスローストキャスティクスの場合です。ファストストキャスティクスの場合は、%Dを%Kなどと読み替えてください。

■ストキャスティクスの使い方

ここまででストキャスティクスの計算方法や見方の紹介をしてきましたが、続いて実践的な使い方を紹介します。

①  エントリーする方向を決める。(環境認識としてのストキャスティクスの活用)

ストキャスティクスにより相場の過熱感、つまり、買われ過ぎ、売られ過ぎを判断できると紹介しましたが、その特徴を利用して、

・ストキャスティクス%Dが売られ過ぎゾーン(例:0~20%)にある時は、買いのみエントリー

・ストキャスティクス%Dが買われ過ぎゾーン(例:80~100%)にある時は、売りのみエントリー

とすることにより、相場の反転を期待した逆張りのポジションを持つ場合の優位性が高くなります。

図6

スローストキャスティクス(5,3,3) 

②具体的な売買ポイントを決める。(エントリー&エグジットサインとしてのストキャスティクスの活用)

これまでに紹介してきたように、

・ストキャスティクス%Dが100%近く(例:80~100%)にある時は、買われ過ぎ

・ストキャスティクス%Dが0%近く(例:0~20%)にある時は、売られ過ぎ

という特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・ストキャスティクス%Dが20%を下から上に抜けたら買い

・ストキャスティクス%Dが80%を上から下に抜けたら売り

 図7

スローストキャスティクス(5,3,3) 

ストキャスティクス%Dが20%を下から上に抜ける、ということは、売られ過ぎの状態から少し上昇したことを意味していますので、「今後レンジの反対側へ動く可能性がある」と判断して買っていきます。

ストキャスティクス%Dが80%を上から下に抜ける、ということは、買われ過ぎの状態から少し下落したことを意味していますので、「今後レンジの反対側へ動く可能性がある」と判断して売っていきます。

また、ストキャスティクス%D とSlow%Dの2本のクロスで売買することもできます。

・ストキャスティクス%D とSlow%Dが売られ過ぎ環境(例:0~20%)でゴールデンクロスしたら買い

・ストキャスティクス%D とSlow%Dが買われ過ぎ環境(例:80~100%)でデッドクロスしたら売り

 いわゆるゴールデンクロス、デッドクロスでの売買になりますが、売られ過ぎ環境での買い、買われ過ぎ環境での売りとすることにより、エントリーの精度が高くなります。

図8
スローストキャスティクス(5,3,3)

■ダイバージェンス(逆行)について

 価格とテクニカル指標が逆方向に動いている状態を、ダイバージェンス(逆行)と言います。一般的に、ダイバージェンスが起こると、テクニカル指標が動いている方向に価格の動きも転換していくと言われています。

図9

 

スローストキャスティクス(5,3,3)

 

ただし、ダイバージェンスが成立したからといって、必ず価格がテクニカル指標の示す方向に動くというわけではありません。このため、ダイバージェンス成立後すぐに売買するのではなく、他のサイン(例:ストキャスティクス80%ライン)で動きを確認した後にエントリーすると、利益を上げる確率を高くすることができます。つまり、ダイバージェンスは売買サインとしてではなく、環境認識としてエントリーの方向を決めるのに使う方が有効だということです。

図10

スローストキャスティクス(5,3,3) 

■ストキャスティクスを利用したトレードルールサンプル

ここではストキャスティクスを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。トレードルールにストキャスティクスを採用する際には、その時点のローソク足(変動しているデータ)で判断するのではなく、すでに確定している1本前の足のデータを使い判断するようにします。これは、ストキャスティクスの算出に終値を採用しているため、その時点で変動を続けているローソク足では終値=現在値という現象が起こってしまうからです。指標自体が常に変動を続ける仮の数値であり、確定数値ではありませんので、それを基に何らかの判断を行うことはできないからです。

①買われ過ぎ・売られ過ぎ

前のストキャスティクス%D≦20%で、かつ、1本前の%D>20%の時買いエントリー

   2本前のストキャスティクス%D≧80%で、かつ、1本前の%D<80%のときエグジット

売り:2本前のストキャスティクス%D≧80%で、かつ、1本前の%D<80%のとき売りエントリー

2本前のストキャスティクス%D≦20%で、かつ、1本前の%D>20%のときエグジット

図11

スローストキャスティクス(5,3,3) 

②買われすぎ・売られすぎラインでエントリー方向を限定したルール例

買い限定:1本前のストキャスティクス%D<20%のとき、買いのみエントリー

売り限定:1本前のストキャスティクス%D>80%のとき、売りのみエントリー

図12

 

スローストキャスティクス(5,3,3) 

③買われすぎ・売られすぎラインでエントリー方向を限定し、

ストキャスティクス%D とSlow%Dの 2本のクロスを売買ポイントとしたルール例

買い限定:1本前のストキャスティクス%D<20%のとき、買いのみエントリー

売り限定:1本前のストキャスティクス%D>80%のとき、売りのみエントリー

買い:2本前のストキャスティクス%D≦Slow%D、かつ、1本前の%D>Slow%Dのとき買いエントリー

   2本前のストキャスティクス%D≧Slow%D、かつ、1本前の%D<Slow%Dのときエグジット

売り:2本前のストキャスティクス%D≧Slow%D、かつ、1本前の%D<Slow%Dのとき売りエントリー

2本前のストキャスティクス%D≦Slow%D、かつ、1本前の%D>Slow%Dのときエグジット

図13

スローストキャスティクス(5,3,3) 

④ダイバージェンスでエントリー方向を限定し、

買われすぎ・売られすぎラインを売買ポイントとしたルール例

買い限定:直近2つの価格の安値とストキャスティクス%Dの安値の関係に注目する

価格が安値を更新し、ストキャスティクス%Dが安値更新しないとき、買いのみエントリー

売り限定:直近2つの価格の高値とストキャスティクス%Dの高値の関係に注目する

価格が高値を更新し、ストキャスティクス%Dが高値更新しないとき、売りのみエントリー

買い:2本前のストキャスティクス%D≦20%で、かつ、1本前の%D>20%のとき買いエントリー

   2本前のストキャスティクス%D≧80%で、かつ、1本前の%D<80%のときエグジット

売り:2本前のストキャスティクス%D≧80%で、かつ、1本前の%D<80%のとき売りエントリー

2本前のストキャスティクス%D≦20%で、かつ、1本前の%D>20%のときエグジット

図14

スローストキャスティクス(5,3,3) 

 

(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)

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(ライター:104m)