2015年04月21日

第4章 テクニカル分析実践 :パラボリック

■パラボリック

●パラボリックの構成(算出方法)や意味

パラボリック(Parabolic Time/Price)とは、トレンドが時間とともに弱くなっていく特性に着目し、トレンドの転換点を捉えるテクニカル指標です。

相場の特性として、トレンドが発生し一定期間継続した後、終末においてその勢い(上昇または下落の強さ)が次第に弱くなり、転換を迎えることが多いです。 パラボリックは、トレンドの進展とともに転換のサインを出やすくすることにより、トレンドの転換点を判断できるようにしています。

 図①

パラボリックは、SAR(“Stop and Reverse” price point)というポイントを算出し、チャート上に点として表示し、SARとローソク足の位置関係や、価格とSARがタッチすることによりトレンドの転換や売買のタイミングを知ろうとする指標です。価格がSARの上に位置している時(SARが価格の下に位置している時)のSARを「買いSAR」と呼び、アップトレンドや買いの環境として捉えていくことができます。同様に、価格がSARの下に位置している時(SARが価格の上に位置している時)のSARを「売りSAR」と呼び、ダウントレンドや売りの環境として捉えて行きます。

買いSARが連続している期間に、価格の安値がSARにタッチした時点で、SARの位置がそれまでと逆転し、ローソク足の上に移動し、売りSARへと変わります。買いSARから売りSARに転換した時の最初の売りSARの値は、買いSARが表示されている期間中の最高値です。そしてトレンドが進むにつれて売りSARはローソク足に近づいていきます。つまりパラボリックとは、SARというポイントを求め、ダウントレンドであれば、直近の高値からトレンドが進むにつれてローソク足に近づいてきた売りSARにタッチすることで、今後高値の切り上げが起こる可能性が高いと捉え、トレンドの転換を疑っていく指標なのです。これを理解することにより、ダウントレンドの中で売りSARが表示されている状態で、価格がSARにタッチし、買いSARが表示されれば、それまでの売りトレードを買いトレードに転じるドテン売買(保有ポジションを決済すると同時に逆のポジションを建てる)用のシステムとして開発されています。

図②

パラボリック(0.02,0.20) 

パラボリックはSARを点(ドット)でチャート上にプロットしていきますが、SARの計算には、前日のSARとEP(極大値:Extreme Price for the trade)、AF(加速因数:Acceleration Factor)を使います。

1個目の買いSAR  = 一つ前の売りSAR期間の最安値  

1個目の売りSAR   = 一つ前の買いSAR期間の最高値

2個目以降のSAR = 前日のSAR + AF × (EP - 前日のSAR)

 

EPは、買いSARの時は「買いSAR期間の最高値」のことで、最高値が更新されればEPも更新されます。売りSARの時は「売りSAR期間の最安値」のことで、最安値が更新されればEPも更新されます。

AFは、ローソク足が一本経過するごとにSARを価格に近付ける比率になります。0.02で始まり、EPが更新されるごとに0.02ずつ加算されます。ただし、0.20が上限となります(AF0.02、上限0.20は変更可能)。なお、AFが0.02ということは、ローソク足が一本経過するごとに、EPから前日のSARを引いた分(EPと前日SARの距離)の2%を前日のSARに加算し、価格に近付けることを意味します。また、EPが更新されるごとにAFが大きくなるので、買いなら最高値を更新するごとに、売りなら最安値を更新するごとに、SARが価格に近づく度合が大きくなり、SARが転換しやすくなります。

●パラボリックの見方

パラボリックは、価格がSARの上にあるときは買いポジション、価格がSARの下にあるときは売りポジションを持つドテン売買のシステムであるという特徴を利用して、相場の方向性を知ることができます。

・価格がパラボリックSARの上にある時はアップトレンド

・価格がパラボリックSARの下にある時はダウントレンド

図③

パラボリック(0.02,0.20) 

 

・パラボリックSARが価格の上下を行ったり来たりしている時はもち合い相場

 図⑩

パラボリック(0.02,0.20) 

●パラボリックの使い方

ここまでパラボリックの計算方法や見方の紹介をしてきましたが、ここでは実践的な使い方を紹介します。

①エントリーする方向を決める(環境認識としてのパラボリックの活用)

先ほどパラボリックにより相場の方向性を知ることができると紹介しましたが、それを利用して、

・価格がパラボリックSARの上にある時は買いのみエントリー

・価格がパラボリックSARの下にある時は売りのみエントリー

とすることにより、大局的なトレンドと同じ方向のポジションを持つことができ、利益を上げる確率を高くすることができます。

図④

パラボリック(0.02,0.20) 

②具体的な売買ポイントを決める(売買サインとしてのパラボリックの活用)

これまでに紹介してきたように、価格が買いSARにタッチすると買いSARから売りSARに、価格が売りSARにタッチすると売りSARから買いSARに変わるという特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・パラボリックSARが売りSARから買いSARに変わったら買い

・パラボリックSARが買いSARから売りSARに変わったら売り

パラボリックSARが売りSARから買いSARに変わるということは、ダウントレンドからアップトレンドに転換したことを意味していますので、相場が売り有利から買い有利に転換したと判断して買っていきます。逆に、パラボリックSARが買いSARから売りSARに変わるということは、アップトレンドからダウントレンドに転換したことを意味していますので、相場が買い有利から売り有利に転換したと判断して売っていきます。

図⑤

パラボリック(0.02,0.20) 

 

③トレーリングストップの目安として使う(売買サインとしてのパラボリックの活用)

 ここまで紹介してきたように、パラボリックSARには時間の経過とともに価格に近づいてくるという特徴があります。これを利用して、トレーリングストップの目安として使うことができます。

具体的には以下のようにします。

・買いポジションを持っている時は買いSARにストップ注文を発注する

・売りポジションを持っている時は売りSARにストップ注文を発注する

さらに、

 ・時間が経過して新しいローソク足ができ、新しいSARができたら、新しいSARにストップ注文を移動する

これを日々繰り返すことにより、トレーリングストップとすることができます。

トレーリングストップの一般的な方法は、例えば買いなら、現在価格の50pips下にストップ注文を発注し、価格が50pips上昇したら、ストップ注文を50pips上に移動するといったものです。

 これは単純な方法ですが、常に一定の値幅を移動するので、相場の状況が考慮されていません。それに対し、パラボリックによるトレーリングストップは、トレンド発生の初期段階では価格から離れたところにストップ注文があり、トレンドの進展とともに、ストップ注文が徐々に価格に近づいていきます。このため、一定値幅のトレーリングストップよりも、相場の状況に合わせたトレーリングストップだと言えます。

図⑥

パラボリック(0.02,0.20) 

●パラボリックを利用したトレードルールサンプル

ここではパラボリックを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。

ルールは基本的に、現在動いている足の1本前を基準に判断していきます。現在動いている足で判断すると、指標が変動する可能性があり、サインとして採用するには不十分だからです。

①パラボリックSARの転換を売買ポイントとしたルール例

買い:2本前のローソク足<SAR、かつ、

1本前のローソク足>SARの時、買いエントリー

   2本前のローソク足>SAR、かつ、

1本前のローソク足<SARの時、エグジット

売り:2本前のローソク足>SAR、かつ、

1本前のローソク足<SARの時、売りエントリー

   2本前のローソク足<SAR、かつ、

1本前のローソク足>SARの時、エグジット

図⑦

パラボリック(0.02,0.20) 

②ローソク足とパラボリックSARの関係でエントリー方向を限定したルール例

買い限定:1本前のローソク足>SARの時、買いのみエントリー

売り限定:1本前のローソク足<SARの時、売りのみエントリー

図⑧

パラボリック(0.02,0.20) 

③パラボリックSARをトレーリングストップのポイントとしたルール例

エントリー直後に、エントリーした足の一本前のSARにストップ注文を発注する

次の足になったら、現在動いている足の一本前のSAR(次の足のSAR)にストップ注文を移動する

図⑨

パラボリック(0.02,0.20) 

 

(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)

Bookmark this on Google Bookmarks
Bookmark this on Livedoor Clip
LINEで送る
Pocket

(ライター:104m)