2015年02月23日

第4章 テクニカル分析実践 :価格を元にして算出するいわゆるテクニカル指標

③価格を元にして算出するいわゆるテクニカル指標

■移動平均線(Moving Average=MA)

●移動平均線の構成(算出方法)や意味

移動平均線(MA:Moving Average)とは、一定期間の価格の平均値を線で結んだものをいいます。相場の値動きは常に変動しますので、ローソク足だけで価格の動きをつかもうとすると細かい値動きに翻弄されてしまい、大きな流れがつかみにくいです。価格の動きを平均化した移動平均線を確認することにより、現在の相場状況を大局的に判断できるようになります。

平均値を求める際の価格データとして何を用いるか、あるいは算出方法によっていくつかの種類の移動平均線がありますが、最も代表的なものは単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)と呼ばれ、終値を用いて平均値を求めたものです。

例えば3日単純移動平均なら、当日を含む過去3日間の終値の合計を3で割って算出します。

グラフィックス1

求めた平均値をチャート上に記し、線として結ぶことで、移動平均線を表示することができます。なお、移動平均線の「移動」の由来は、計算に使用するデータが毎日変わる(移動する)ことから来ています。

 

グラフィックス2

平均値を求める際の価格データに終値が多く用いられるのは、終値がその日一日のマーケットでの最終結果であり、その価格での取引にマーケット参加者が合意したことになるので、高値や安値、始値よりも重要であると考えられているためです。つまり、終値を使用した移動平均は、一定期間の市場参加者の平均コストであり、移動平均の価格でポジションを持っている人が最も多いということを意味しています。FX市場は24時間取引することが可能であり、始値や終値というものが実質存在していませんが、日足の終値はNYクローズ(日本時間7:00:冬時間)として全世界の市場参加者が意識しますので、NYクローズの価格を終値として捉え、これが重要な意味を持ちます。

●移動平均線の見方

移動平均は市場参加者の平均コストであり、移動平均の価格でポジションを持っている人が最も多いという特性を利用して、トレンドの状況を判断することができます。

① ローソク足が移動平均線より上で推移していたらアップトレンド、下で推移ならダウントレンド

②移動平均線の傾きが上向きならアップトレンド、下向きならダウントレンド

グラフィックス3

③ローソク足が移動平均線付近で上下に行ったり来たりしており、移動平均線の傾きが横ばいなら保ち合い相場

グラフィックス4

短期と長期の2本の移動平均線でも、①~③の「ローソク足」を「短期移動平均線」に、「移動平均線」を「長期移動平均線」にそれぞれ置き換えると、ローソク足と1本の移動平均線の場合と同じようにトレンドの状況を判断することができます。

●移動平均線の使い方

ここまで、移動平均線の計算方法や見方の紹介をしてきましたが、ここでは実践的な使い方の紹介を行います。

① エントリーする方向を決める(環境認識としての移動平均線の活用)

前記で、ローソク足と移動平均線の位置関係と、移動平均線の向きで大局的なトレンドの状況を判断できると紹介しました。

それを利用して、

・ローソク足が長期(75~200日)移動平均線の上で推移しており、移動平均線が上向きの時は買いのみエントリー

・ローソク足が長期(75~200日)移動平均線の下で推移しており、移動平均線が下向きの時は売りのみエントリー

と決めることにより、大局的なトレンドと同じ方向にトレードを行うことができ、利益を上げる確率を高くすることができます。単純な方法ですが、エントリーする方向を限定するだけで優位性は飛躍的に高くなります。

グラフィックス5

② 具体的な売買ポイントを決める(売買サインとしての移動平均線の活用)

移動平均は市場参加者の平均コストであり、移動平均の価格でポジションを持っている人が最も多い傾向にあるという性質を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・終値が短期(3~25日)移動平均線を下から上に抜けたら買い、上から下に抜けたら売り

・短期(3~25日)移動平均線が中期(10~50日)移動平均線を下から上に抜けたら買い、上から下に抜けたら売り

つまり、価格が平均取得コストを上回れば買いポジションを持っている人が利益を上げることから、買いポジションを持っている人の多くが含み損から含み利益になるポイントで買い、売りポジションを持っている人の多くが含み益から含み損になるポイントで売るということです。買いポジションを持つ人が含み利益に変わるということは、裏を返せば、売りポジションを持つ人が含み損に変わることを意味しています。含み損を持っている人が多くなるということは、それだけ含み損を持った人が反対売買に迫られる可能性を示しており、売りポジションを持っている人の反対売買は「買戻し」ですので、移動平均を抜くということは、投資家の売買の行動が変わる分岐点を示しているともいえるのです。

グラフィックス6

上記の応用として、複数の移動平均線の並んでいる順序が揃った時に、強いトレンドが発生したと認識して売買することもできます。この状態を「パーフェクトオーダー」と呼びます。

エントリーサインとしては

・買い:超短期移動平均線>短期移動平均線>中期移動平均線>長期移動平均線

・売り:超短期移動平均線<短期移動平均線<中期移動平均線<長期移動平均線

のように決めることができます。

エグジットサインとしては、パーフェクトオーダーの状態が崩れた時、つまり移動平均線の順序が一つでも崩れた時に、トレンドが変わった可能性があると考え、エグジットすることができます。なお、今回は4本の移動平均線を紹介しますが、3本や5本など様々な設定が可能です。

グラフィックス7

③ 価格変動のサポート、レジスタンスとして確認する(環境認識としての移動平均線の活用)

移動平均線は最もメジャーで有効なテクニカル指標です。環境認識の指標として確認している人が多いため、価格の上昇途中に移動平均線付近で支えられたり、下落途中では反落し

グラフィックス8

たりすることが多く見られ、サポートやレジスタンスの目安として確認することもできます。

●移動平均線の設定期間について

移動平均線を算出する際の設定期間をどの数値にしたらいいのか?というのはよくある疑問ですが、営業日ベースで考えてみると、その答えが見つかるかもしれません。

グラフィックス9

このように、期間の持つ意味を考えると、より効果的に移動平均線を利用することができます。

上記の中で、20日、21日といった期間は他のテクニカル指標であるボリンジャーバンドでも使用されていますので、他の期間の移動平均線より利用者が多いと考えられます。利用者が多いということは、それだけその移動平均線で売買の判断を行う人が多いということになりますので、他の期間よりも重要性や影響度が高くなるといえます。

●その他の移動平均線

単純移動平均線は計算方法がシンプルで利用しやすいので、最も多く用いられていますが、単純移動平均線には、以下のような構造的欠点があると考える人もいます。

① 計算に用いる価格データを全て等しく扱う点。実際は、過去に売買した人の中には、既に決済した人もいるので、当日に近い価格の方が遠い価格よりも重要である。

② 過去の一定期間の価格しか考慮しておらず、長期保有ポジションが考慮されていない点。

③ 一日計算日が移動すると、二日分の価格変化を反映してしまう点。新しく終値が決定すると、新たな価格データが追加され、一番古い価格データが除外されることにより、二日分の価格データが反映されてしまう。

①の欠点を補うために、直近の価格に比重を置いた加重移動平均線(WMA:Weighted Moving Average)を使う人もいます。

グラフィックス10

①、②、③すべての欠点を補うものとして、過去すべての価格を反映しつつ、直近の価格に比重を置いた指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)を使う人もいます。

グラフィックス11

WMA、EMAともSMAよりも価格に追随しやすい特徴があります。

グラフィックス12

ただし、単純移動平均線でも十分に有効ですので、必ずしも加重移動平均線や指数平滑移動平均線を使わなければいけないというものではありません。

●移動平均線を利用したトレードルールサンプル

ここでは移動平均線を利用したトレードルールのサンプルを紹介します。

ルールは基本的に、現在動いている足の1本前を基準に判断していきます。現在動いている足は終値が確定しておらず、移動平均線も変動を続けており、サインとして採用するには不十分だからです。

①終値と移動平均線(MA)のクロスを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前の終値≦MAで、かつ、1本前の終値>MAの時、買いエントリー

2本前の終値≧MAで、かつ、1本前の終値<MAの時、エグジット

売り:2本前の終値≧MAで、かつ、1本前の終値<MAの時、売りエントリー

2本前の終値≦MAで、かつ、1本前の終値>MAの時、エグジット

グラフィックス13

②2本のMAのクロスを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前の短期MA≦長期MAで、かつ、1本前の短期MA>長期MAの時、買いエントリー

2本前の短期MA≧長期MAで、かつ、1本前の短期MA<長期MAの時、エグジット

売り:2本前の短期MA≧長期MAで、かつ、1本前の短期MA<長期MAの時、売りエントリー

2本前の短期MA≦長期MAで、かつ、1本前の短期MA>長期MAの時、エグジット

グラフィックス14

③長期MAでエントリー方向を限定したルール例

買い限定:1本前の終値>長期MAの時、買いのみエントリー

売り限定:1本前の終値<長期MAの時、売りのみエントリー

グラフィックス15

④4本のMAのパーフェクトオーダーで売買するルール例

・買い:2本前の4本のMAの順列がどれか一つでもMA期間の順序ではなく、かつ、

1本前の超短期MA>短期MA>中期MA>長期MAの時、買いエントリー

2本前の超短期MA>短期MA>中期MA>長期MAで、かつ、

1本前の4本のMAの順列がどれか一つでもMA期間の順序ではない時、エグジット

・売り:2本前の4本のMAの順列がどれか一つでもMA期間の順序ではなく、かつ、

1本前の超短期MA<短期MA<中期MA<長期MAの時、売りエントリー

2本前の超短期MA<短期MA<中期MA<長期MAで、かつ、

1本前の4本のMAの順列がどれか一つでもMA期間の順序ではない時、エグジット

グラフィックス16

(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)

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(ライター:104m)