2015年03月02日

第4章 テクニカル分析実践 :MACD

■MACD
●MACDの構成(算出方法)や意味

MACD(Moving Average Convergence / Divergence Trading Method:移動平均収束拡散 トレーディング手法)とは、2本の移動平均線が、価格変動に応じて近づいたり離れたりする動きを数値化することにより、トレンドの変化や継続を捉えようとするテクニカル指標です。

 

短期と長期の2本の移動平均線をチャートに表示させると、トレンドが転換した後に2本の移動平均線がクロスし、トレンドの進展とともに2本の移動平均線の距離が離れていきます。そして天井をつけると再び2本の移動平均線が近づき、クロスします。MACDはこの2本の移動平均線のかい離幅の動きに着目しています。トレンドが強ければ強いほど、2本の移動平均線のかい離幅が拡大を続け、またその時間も長くなることから、2本に移動平均線のかい離幅を指標化し、より分かりやすくトレンドを認識しようとする指標です。

グラフィックス1
12日EMA、26日EMA

 

MACDは「MACD」、「シグナル」、「ヒストグラム」の3つの要素で構成されています。最も重要なものは2本の移動平均線のかい離幅であるMACDであり、MACDというテクニカル指標の根本となるものです。シグナル、ヒストグラムは売買サインとして使いやすいように、MACDを元に算出されたものです(下図参照)。MACDの算出に用いる移動平均線は、指数平滑移動平均線(EMA)を使用します。EMAは単純移動平均線(SMA)よりも直近の価格の影響を高く見積もって計算するので、EMAはSMAより価格の動きに追随しやすい特徴があります。EMAの詳しい解説は移動平均線の章の「その他の移動平均線」をご覧ください。

 

なお、MACD=0とは移動平均線のかい離幅がゼロということですので、短期EMAと長期EMAがクロスしたことを意味し、ヒストグラム=0とはMACDとシグナルの差がゼロということですので、MACDとシグナルがクロスしたことを意味します。

グラフィックス2
12日EMA、26日EMA、MACD(12、26、9)

 

 

●MACDの見方

上記で紹介したように、MACD=0は短期EMAと長期EMAがクロスするポイントであるという特徴を利用して、大局的なトレンド状況を判断する環境認識として用いることができます。

①MACDがプラスのゾーン(0より上)にあるときは、アップトレンド

MACDがマイナスのゾーン(0より下)にあるときは、ダウントレンド

グラフィックス3
12日EMA、26日EMA、MACD(12、26、9)

 

 

また、MACDとシグナルのクロス(ヒストグラム=0)に注目することにより、MACD=0より早い段階で、トレンドの強弱の変化を読み取ることができます。なお、MACDとシグナルのクロスは、トレンド発生により拡大していた2本のMAのかい離幅(=MACD)が、ある程度小さくなったことを意味していますので、それまでと逆方向へ行こうとする兆し、つまりトレンド転換の可能性を感知することができます。

②MACD>シグナル(=ヒストグラム>0)のときは、買い方が有利

MACD<シグナル(=ヒストグラム<0)のときは、売り方が有利

グラフィックス4
MACD(12、26、9)

 

 

●MACDの使い方

ここまでMACDの計算方法や見方を紹介してきましたが、ここでは実践的な使い方を紹介します。

①エントリーする方向を決める

先ほど、MACDにより大局的なトレンドの状況を判断できると紹介しました。

それを利用して、

・MACDがプラスのゾーン(0より上)で推移しているときは、買いのみエントリー

・MACDがマイナスのゾーン(0より下)で推移しているときは、売りのみエントリー

とすることにより、大局的なトレンドと同じ方向のポジションを持つことができ、利益を上げる確率が高くなります。

グラフィックス5
12日EMA、26日EMA、MACD(12、26、9)

 

また、MACDとシグナルのクロスでトレンドの変化の兆しを見つけられるので、これを利用して、

・MACD>シグナル(=ヒストグラム>0)のときは、買いのみエントリー

・MACD<シグナル(=ヒストグラム<0)のときは、売りのみエントリー

とすることにより、MACD=0より早い段階からトレンドの変化に乗っていくことできます。

グラフィックス6
MACD(12、26、9)

 

②具体的な売買ポイントを決める

これまでに紹介してきたように、

・MACDがプラスのゾーン(0より上)にあるときは、アップトレンド

・MACDがマイナスのゾーン(0より下)にあるときは、ダウントレンド

という特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・MACDが0を下から上に抜けたら買い

・MACDが0を上から下に抜けたら売り

MACDが0を下から上に抜けるということは、ダウントレンドからアップトレンドに転換したことを意味していますので、相場が売り有利から買い有利に転換したと判断して買っていきます。

逆に、MACDが0を上から下に抜けるということは、アップトレンドからダウントレンドに転換したことを意味していますので、相場が買い有利から売り有利に転換したと判断して売っていきます。

グラフィックス7

MACD(12、26、9)

 

また、

・MACD>シグナル(=ヒストグラム>0)のときは、買い方が有利

・MACD<シグナル(=ヒストグラム<0)のときは、売り方が有利

という特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・MACDとシグナルがゴールデンクロス(ヒストグラムが0の下から上に移動する)したら買い

・MACDとシグナルがデッドクロス(ヒストグラムが0の上から下に移動する)したら売り

MACDとシグナルがゴールデンクロスするということは、売られていた状態からある程度上昇したことを意味していますので、「今後アップトレンドに転換していく可能性がある」と判断して買っていきます。MACDとシグナルがデッドクロスするということは、買われていた状態からある程度下落したことを意味していますので、「今後ダウントレンドに転換していく可能性がある」と判断して売っていきます。

グラフィックス8

MACD(12、26、9)

 

●ダイバージェンス(逆行)について

価格とテクニカル指標が逆方向に動いている状態をダイバージェンス(逆行)と言います。

一般的に、ダイバージェンスが起こると、テクニカル指標が動いている方向に価格の動きも転換していくと言われています。

グラフィックス9

MACD(12、26、9)

 

ただし、ダイバージェンが成立したからといって、必ずしも価格がテクニカル指標の示す方向に動くというわけではありません。このため、ダイバージェンス成立後すぐに売買するのではなく、他のサイン(例:MACDの0ライン)で動きを確認した後でエントリーを行うと、利益を上げる確率を高くすることができます。つまり、ダイバージェンスは売買サインとしてではなく、環境認識としてエントリーの方向を決めるために使う方が有効だということです。

グラフィックス10

MACD(12、26、9)

 

●MACDを利用したトレードルールサンプル

ここではMACDを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。

トレードルールにMACDを採用する際には、その時点のローソク足(変動しているデータ)で判断するのではなく、既に確定している1本前の足のデータを使い判断するようにします。これは、MACDの算出に使われるEMAという指標が終値を元に算出されるため、その時点で変動を続けているローソク足では終値=現在値という現象が起こるためです。指標自体が変動を続ける仮の数値であり、確定数値ではありませんので、それを元に何らかの判断を行うことはできないからです。

 

①0ラインを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前のMACD≦0で、かつ、1本前のMACD>0のとき買いエントリー

2本前のMACD≧0で、かつ、1本前のMACD<0のときエグジット

売り:2本前のMACD≧0で、かつ、1本前のMACD<0のとき売りエントリー

2本前のMACD≦0で、かつ、1本前のMACD>0のときエグジット

グラフィックス11

MACD(12、26、9)

 

②MACDとシグナルのクロスを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前のMACD≦シグナルで、かつ、1本前のMACD>シグナルのとき買いエントリー

2本前のMACD≧シグナルで、かつ、1本前のMACD<シグナルのときエグジット

売り:2本前のMACD≧シグナルで、かつ、1本前のMACD<シグナルのとき売りエントリー

2本前のMACD≦シグナルで、かつ、1本前のMACD>シグナルのときエグジット

グラフィックス12

MACD(12、26、9)

 

③0ラインでエントリー方向を限定したルール例

買い限定:1本前のMACD>0のとき、買いのみエントリーする

売り限定:1本前のMACD<0のとき、売りのみエントリーする

グラフィックス13

MACD(12、26、9)

 

④0ラインでエントリー方向を限定し、MACDとシグナルのクロスを売買ポイントとしたルール例

買い限定:1本前のMACD>0のとき、買いのみエントリー

売り限定:1本前のMACD<0のとき、売りのみエントリー

買い:2本前のMACD≦シグナルで、かつ、1本前のMACD>シグナルのとき買いエントリー

2本前のMACD≧シグナルで、かつ、1本前のMACD<シグナルのときエグジット

売り:2本前のMACD≧シグナルで、かつ、1本前のMACD<シグナルのとき売りエントリー

2本前のMACD≦シグナルで、かつ、1本前のMACD>シグナルのときエグジット

グラフィックス14

MACD(12、26、9)

 

⑤ダイバージェンスでエントリー方向を限定し、0ラインを売買ポイントとしたルール例

買い限定:直近2つの価格の安値とMACDの安値の関係に注目する。

価格が安値を更新し、MACDが安値を更新していないとき、買いのみエントリー

売り限定:直近2つの価格の高値とMACDの高値の関係に注目する。

価格が高値を更新し、MACDが高値を更新していないとき、売りのみエントリー

買い:2本前のMACD≦0で、かつ、1本前のMACD>0のとき買いエントリー

2本前のMACD≧0で、かつ、1本前のMACD<0のときエグジット

売り:2本前のMACD≧0で、かつ、1本前のMACD<0のとき売りエントリー

2本前のMACD≦0で、かつ、1本前のMACD>0のときエグジット

グラフィックス15
MACD(12、26、9)

(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)

Bookmark this on Google Bookmarks
Bookmark this on Livedoor Clip
LINEで送る
Pocket

(ライター:104m)