2015年03月24日

第4章 テクニカル分析実践 :ATR

■ATR

●ATRの構成(算出方法)や意味

ATR(Average True Range)とは、「真の値幅」の平均値のことで、価格変動の大きさ(ボラティリティ)を知ることができるテクニカル指標です。「値幅」とは、一つのローソク足の高値と安値の距離のことですが、「真の値幅」とは、「窓」が発生した場合も考慮した値幅のことです。

           値幅        = 高値-安値

           真の値幅     = 真の高値 - 真の安値

           窓           = 当日の始値 - 前日の終値

前日のローソク足の終値と当日のローソク足の始値の間で値が飛んで、離れてしまうことを「窓が発生する」と言います。為替市場の場合、月曜日の始値と前週の金曜日の終値の間でよく窓が発生します。

「真の高値」、「真の安値」は以下のように定義されます。つまり、窓が発生した場合は前日の終値からの値幅を「真の値幅」としています。

      真の高値     = 当日の高値か、前日の終値のどちらか高い方

     真の安値    = 当日の安値か、前日の終値のどちらか安い方

図①

ATRは「真の値幅の平均」ですので、真の値幅の一定期間の平均値を日々計算し、その平均を線で結んだものがATRとしてチャート上に表示されます。

ATRは算出期間中の価格変動の大きさ(ボラティリティ)の目安ですので、ATRが大きいとボラティリティが大きいことを意味し、ATRが小さいとボラティリティが小さいことを意味します。

図②
ATR(15)

●ATRの見方

前記にて紹介したように、ATRはボラティリティの目安であるという特徴を利用して、相場の状況を知ることができます。

①  ATRが上昇し、高い値の時はトレンド相場。 ATRが急激に上昇する時はパニック相場

トレンド相場になると値動きが大きくなるので、ATRは上昇し、高い値になります。

また、パニック相場の時は値動きが非常に大きくなるので、ATRは急激に上昇します。ATRの急上昇を見つけたら注意が必要です。

図③
ATR(15)

図④

ATR(15)

②ATRが下落し、低い値のときはレンジ相場、もしくはトレンド反転

レンジ相場になると値動きが小さくなるので、ATRは下落し低い値になります。

また、トレンドの最終局面では値動きが大きくなることが多く、ATRも高くなります。このため、トレンドが反転する前後にATRがピークをつけて下落に転じることが多いです。

図⑤
ATR(15)

図⑥

●ATRの使い方

ここまでATRの計算方法や見方の紹介をしてきました。ここからは実践的な使い方の紹介を行います。

①損切り価格や利食い価格を決める(エグジットサインとしてのATRの活用)

先ほど、ATRはボラティリティの目安であると紹介しましたが、それを利用して相場の状況に合わせた損切り価格や利食い価格を決めることができます。以下は買いの場合の例です。

損切り価格   = エントリー価格  -ATR × 1~3倍

利食い価格   = エントリー価格  +ATR × 1~3倍

 

ATRは「真の値幅の平均」ですので、「ATRの値幅分はこれから動く可能性が高い」と考えることができます。このため、ATRの1~3倍をエントリー価格から離した価格に損切り注文を出しておくことは、通常の値動きのバラつきの範囲を超えてポジションと逆行した場合に損切りする、という意味になります。ATRでの損切りは、相場状況に応じて近くなったり離れたりしますので、固定値幅での損切りよりも相場状況に合わせた損切りになります。

利食いの場合もATRの1~3倍に指値注文を出しておくことで、ボラティリティを考慮した利食い価格を計算することができ、固定値幅での利食いよりも相場状況に合わせた利食いになります。

図⑦

ATR(15)

②ポジションサイズを決める(環境認識&資金管理としてのATRの活用)

ATRの値の大きさに注目し、ポジションサイズ(売買する通貨数)を決めることができます。ATRが小さいとボラティリティが小さい、ATRが大きいとボラティリティが大きいことを意味しますので、ATRが2倍 ⇒ポジションサイズを半分

などとすると、相場のボラティリティを考慮したポジションサイズを決めることができます。

図⑧

ATR(15)

①  デイトレードで今後動く値幅の目安にし、目標価格を計算する(エグジットサインとしてのATRの活用)

ATRは「真の値幅の平均」であるという特徴を生かし、日足のATRをデイトレードに利用できます。

日足のATRは「1日でこれくらいは動きそう」という目安になるため、日中にチャートを見た時間から、その日の終わり(翌6時:夏時間)までに、後どれくらいの値幅が動きそうかを計算できます。

 

これから動きそうな値幅 = 前日の日足ATR - 始値からチャートを見た時までに動いた値幅 

具体的には以下のように計算します。例では午前11時30分に15分足を見ています。

前日の日足ATRからこれまでに動いた値幅を引いた値幅が、日足終了の翌6時(夏時間)までに、それまでの高値や安値を超えて動きそう、と考えて目標価格を計算しています。

図⑨

ATR(15)

●ATRを利用したトレードルールサンプル

ここではATRを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。

ルールは基本的に、現在動いている足の1本前を基準に判断していきます。現在動いている足で判断すると、指標が変動する可能性があり、サインとして採用するには不十分だからです。

①損切り価格を決めるルール例

買い : 損切り価格 = エントリー価格 - 1本前のATR×3倍

売り : 損切り価格 = エントリー価格 + 1本前のATR×3倍

②利食い価格を決めるルール例

買い : 利食い価格 = エントリー価格 + 1本前のATR×3倍

売り : 利食い価格 = エントリー価格 - 1本前のATR×3倍

図⑩

③ポジションサイズを決めるルール例

1本前のATR = 1.0円(長期間の平均的な値を入れる)の時は、2万通貨

1本前のATR = 2.0円の時は、1万通貨

1本前のATR = 0.5円の時は、4万通貨

図⑪

ATR(15)

④デイトレードの目標価格を決めるルール例

これから日足終了(翌6時:夏時間)までに動きそうな値幅

= 前日の日足ATR - 日足始値から現在の1本前の足までに動いた値幅(高値-安値)

高値目標価格 = 日足始値から現在の1本前の足までの高値 + これから動きそうな値幅

安値目標価格 = 日足始値から現在の1本前の足までの安値 - これから動きそうな値幅

図⑫

ATR(15)

⑤パニック相場にそなえるルール例

ATRが急上昇している時は、価格が乱高下する可能性があるのでエントリーをキャンセル、もしくは、ポジションサイズを非常に小さくする

図⑬

ATR(15)

(チャート出所:FXCMジャパン証券株式会社 Trading Station)

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(ライター:104m)