2015年03月09日

第4章 テクニカル分析実践 :RSI

■RSI

●RSIの構成(算出方法)や意味

RSI(Relative Strength Index:相対力指数)とは、一定期間の陽線と陰線の比率から、相場の強弱、過熱感を捉えるテクニカル指標です。

相場の特性として、アップトレンドでは陽線(上昇)の比率が高く、ダウントレンドでは陰線(下落)の比率が高くなります。RSIはこの陽線と陰線の値幅の比率を数値化することにより、今の相場の状況を客観的に判断できるようにしています。

グラフィックス1

5日RSIの計算式は以下のようになります。RSIは算出期間中の上昇と下落の値幅の合計のうち、上昇した割合(陽線の割合)を%で示しており、0~100%の間を振幅する指標です。

グラフィックス3

 

RSIが100%に近いと、算出期間の殆どの足が上昇したことを意味します。RSIが0%に近いと、算出期間の殆どの足が下落したことを意味します。RSI=50%は算出期間の上昇幅と下落幅が同じで、上昇と下落の力が拮抗していることを意味します。

グラフィックス2
●RSIの見方
上記で紹介したように、RSIが100%に近いと算出期間の殆どの足が上昇している、0%に近いと算出期間の殆どの足が下落している、50%だと上昇と下落の力が拮抗しているという特徴を利用して、大局的なトレンドを判断することができます。

① RSIが50~100%にある時はアップトレンド

RSIが0~50%にある時はダウントレンド

グラフィックス410日RSI 

●RSIの使い方

ここまでRSIの計算方法や見方の紹介をしてきましたが、ここでは実践的な使い方の紹介を行います。

①エントリーする方向を決める(環境認識としてのRSIの活用)

上記にて、RSIにより大局的なトレンドを判断できると紹介しましたが、それを利用して、
・RSIが50~100%で推移している時は買いのみエントリー
・RSIが0~50%で推移している時は売りのみエントリー
とすることにより、大局的なトレンドと同じ方向のポジションを持つことができ、利益を上げる確率を高くすることができます。

グラフィックス610日RSI

また、RSIは相場の過熱感、つまり、買われすぎ、売られすぎを判断できますので、これを利用して、
・RSIが売られすぎのゾーン(例:0~30%)で推移している時は買いのみエントリー
・RSIが買われすぎのゾーン(例:70~100%)で推移している時は売りのみエントリー
とすることにより、相場の反転を期待した逆張りのポジションを持つ場合の優位性が高くなります。

グラフィックス710日RSI

②具体的な売買ポイントを決める(エントリー&エグジットサインとしてのRSIの活用)

これまでに紹介してきたように、

・RSIが50~100%にある時はアップトレンド
・RSIが0~50%にある時はダウントレンド
という特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・RSIが50%を下から上に抜けたら買い
・RSIが50%を上から下に抜けたら売り
RSIが50%を下から上に抜けるということは、ダウントレンドからアップトレンドに転換したことを意味していますので、相場が売り有利から買い有利に転換したと判断して買っていきます。

逆に、RSIが50%を上から下に抜けるということは、アップトレンドからダウントレンドに転換したことを意味していますので、相場が買い有利から売り有利に転換したと判断して売っていきます。グラフィックス810日RSI

また、

・RSIが100%近く(例:70~100%)にある時は買われすぎ
・RSIが0%近く(例:0~30%)にある時は売られすぎ

という特徴を利用して、以下のように売買ポイントを決めることができます。

・RSIが30%を下から上に抜けたら買い
・RSIが70%を上から下に抜けたら売り

RSIが30%を下から上に抜けるということは、売られすぎの状態から少し上昇したことを意味していますので、「今後アップトレンドに転換していく可能性がある」と判断して買っていきます。

RSIが70%を上から下に抜けるということは、買われすぎの状態から少し下落したことを意味していますので、「今後ダウントレンドに転換していく可能性がある」と判断して売っていきます。

グラフィックス910日RSI

●ダイバージェンス(逆行)について

価格とテクニカル指標が逆方向に動いている状態をダイバージェンス(逆行)と言います。一般的に、ダイバージェンスが起こると、テクニカル指標が動いている方向に価格の動きも転換していくと言われています。

グラフィックス1010日RSI

ただし、ダイバージェンスが成立したからといって、必ずしも価格がテクニカル指標の示す方向に動くというわけではありません。このため、ダイバージェンス成立後すぐに売買するのではなく、他のサイン(例:RSI 50%ライン)で動きを確認した後でエントリーすると、利益を上げる確率を高くすることができます。つまり、ダイバージェンスは売買サインとしてではなく、環境認識としてエントリーの方向を決めるために使う方が有効だということです。

グラフィックス1110日RSI

●リバーサルについて

上記にて、価格とテクニカル指標が逆方向に動いている状態をダイバージェンス(逆行)と紹介しましたが、もう一つ、リバーサルという現象があり、このリバーサルも価格とテクニカル指標が逆方向に動いている状態を表します。

・ダイバージェンス :価格が高値を更新した時、テクニカル指標が高値を更新していない
・リバーサル :テクニカル指標が高値を更新した時、価格が高値を更新していない

と、リバーサルはダイバージェンスと真逆の現象のことです。

一般的に、リバーサルが成立すると、価格の動きに合わせるようにテクニカル指標が転換していくと言われています。なお、ダイバージェンスはトレンドの転換点で起こりやすいですが、リバーサルはトレンドの形成途中で起こりやすいという特徴があります。

グラフィックス1210日RSI

ダイバージェンス同様、リバーサルが成立したからといって、必ずしもテクニカル指標が価格の動きに合わせるように動くというわけではありません。このため、リバーサル成立後すぐに売買するのではなく、他のサイン(例:RSI 50%ライン)で動きを確認した後でエントリーを行うと、利益を上げる確率を高くすることができます。リバーサルも売買サインとしてではなく、環境認識としてエントリーの方向を決めるために使う方が有効です。

グラフィックス1310日RSI

●RSIを利用したトレードルールサンプル

ここではRSIを利用したトレードルールのサンプルを紹介します。

トレードルールにRSIを採用する際には、その時点のローソク足で判断するのではなく、既に確定している1本前の足のデータを使い判断するようにします。これは、RSIの算出は一定期間の変動幅を元に算出するため、その時点で変動を続けているローソク足では変動幅が確定しておらず、変動を続ける指標で何らかの判断を行うことはできないからです。
①50%ラインを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前のRSI≦50%で、かつ、1本前のRSI>50%の時、買いエントリー

2本前のRSI≧50%で、かつ、1本前のRSI<50%の時、エグジット

売り:2本前のRSI≧50%で、かつ、1本前のRSI<50%の時、売りエントリー

2本前のRSI≦50%で、かつ、1本前のRSI>50%の時、エグジット

グラフィックス1410日RSI
②買われすぎ・売られすぎラインを売買ポイントとしたルール例

買い:2本前のRSI≦30%で、かつ、1本前のRSI>30%の時、買いエントリー

2本前のRSI≧70%で、かつ、1本前のRSI<70%の時、エグジット

売り:2本前のRSI≧70%で、かつ、1本前のRSI<70%の時、売りエントリー

2本前のRSI≦30%で、かつ、1本前のRSI>30%の時、エグジット

グラフィックス1510日RSI

③50%ラインでエントリー方向を限定したルール例

買い限定:1本前のRSI>50%の時、買いのみエントリー

売り限定:1本前のRSI<50%の時、売りのみエントリー

グラフィックス1610日RSI

 

④ダイバージェンスでエントリー方向を限定したルール例

 

買い限定:直近2つの価格の安値とRSIの安値の関係に注目する。
価格が安値を更新し、RSIが安値を更新していない時、買いのみエントリー

売り限定:直近2つの価格の高値とRSIの高値の関係に注目する。
価格が高値を更新し、RSIが高値を更新していない時、売りのみエントリー

グラフィックス1710日RSI 

⑤ダイバージェンスでエントリー方向を限定し、50%ラインを売買ポイントとしたルール例

買い限定:直近2つの価格の安値とRSIの安値の関係に注目する。

価格が安値を更新し、RSIが安値を更新していない時、買いのみエントリー

売り限定:直近2つの価格の高値とRSIの高値の関係に注目する。

価格が高値を更新し、RSIが高値を更新していない時、売りのみエントリー

買い:2本前のRSI≦50%で、かつ、1本前のRSI>50%の時、買いエントリー

2本前のRSI≧50%で、かつ、1本前のRSI<50%の時、エグジット

売り:2本前のRSI≧50%で、かつ、1本前のRSI<50%の時、売りエントリー

2本前のRSI≦50%で、かつ、1本前のRSI>50%の時、エグジット

グラフィックス1810日RSI 

 

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(ライター:104m)