2015年08月03日
第6章
■複数のテクニカル指標を利用した実践的なトレードルールサンプル
②レンジ相場を想定したボリンジャーバンドによる逆張りトレード
【テクニカル指標】
ボリンジャーバンド :20日、±1σ、±2σ
ADX :14日
ATR :15日
【時間軸】
日足
【環境認識】
以下の条件を満たした時のみエントリー。これからレンジ相場になることを想定。
・ADX下向き :1本前のADX<2本前のADX
【エントリー】
買い:1本前の安値<1本前の-2σ、かつ、1本前の-1σ>終値>-2σの時、買いエントリー
売り:1本前の高値>1本前の+2σ、かつ、1本前の+1σ<終値<+2σの時、売りエントリー
【エグジット】
買い:1本前の終値>1本前の+1σの時、エグジット
売り:1本前の終値<1本前の-1σの時、エグジット
【損切り】
買い:エントリー価格-1本前のATR×1倍
売り:エントリー価格+1本前のATR×1倍
【サイズ】
損切りとなった時に、損失額が資金の1%以内となる通貨数
FXCMJAPAN マーケットスコープ EURUSD日足 2002/2/19-2002/3/29 BB(20,±1σ、±2σ)、ADX(14)
このルールでは、環境認識としてADXを使い、レンジ相場を想定した逆張りを行っています。ADXという指標は、その数値が高いことでトレンドの発生を、数値が上昇することでトレンドの継続を想定していくことができる指標です。逆に数値が低い場合や低下している場合はレンジ相場を想定することもでき、今回のルールでは、ADXの低下によりレンジ相場を想定しています。
次に、ボリンジャーバンドと価格水準の関係を売買サインとして使い、エントリーとエグジットのタイミングを計っています。ボリンジャーバンドには、そのバンドの状態により2つの見方と使い方がありましたが、ここではスクイーズと呼ばれるレンジ相場を想定し、価格が一定の水準を越えた後で戻ってきたところをエントリーし、反対側のレンジ到達でエグジットしています。このトレードは、直前の価格の動きが転換するところをターゲットとしている逆張りのトレード手法です。レンジ相場が継続することがトレードルールの優位性でもありますので、トレンド発生時には利益を上げにくいルールであることが分かります。
このルールでは、損切りポイントの算出にATRを使っており、自分がエントリーした値位置から一定値幅だけ反対方向に動いた時に損切りを行うようにしています。これは、価格が転換することを想定したものの、その想定が覆されたことを反対方向へ動く値幅で決定しているのです。ATRを使ったこのような損切りの決定も、価格の動きの特性を捉えた上で設定される損切りの例といえます。
このルールにおいても、損切りポイントにおいて損失が確定された際に、投資資金全体の1%だけが失われるよう売買サイズを算出し、資金管理を行っています。
このようにしてトレードルールを1つ1つ組み立て、検証し、実践していくのです。トレードルールやテクニカル指標の1つ1つに意味を持たせ、それをトータルとして利用することによって、自分の利益を確実なものへと引き上げていくのです。
なお、ここでご紹介している2つのルールは、これまでこの本を通じて紹介してきた全ての要素を統合し、あなたのルール作りのためのサンプルとして提示したものです。一定期間の検証を行い、その優位性は確認しておりますが「このルールを使えば利益が上がるので、これを使ってください」というものではありません。あなたはこれから自分自身で、自分の目標とするトレードを決めて、1つ1つのルールやテクニカル指標を様々に検討し、理想のルールを作り上げていくことができます。あるいは、自分でルールを作ることが面倒だという人は、書籍やインターネットなどで紹介されているルールを、それが何を意味し、何を目的とし、どんな優位性に元に組み立てられているのかを上の例にならって確認することで、自分のルールとして身に付けていくことも可能です。
あなたがこれからFXトレードで長く利益を上げて行こうと思うのであれば、自分が理解、納得し、使い続けられるルールが必要です。それに出会い、作り上げるためには、まずはその土台を知る必要があり、それをこの本の中で紹介してきたのです。
難しく考える必要はありません。
まずはシンプルにそれだけを考えて、自分が納得いくまで「あなたのトレード」を探してください。あなたが自分でコントロールして利益を上げる、それがあなたのトレードです。そのためにテクニカル指標を理解し、ルールを理解し、トレードを続けてください。