2015年09月01日

個人投資家の診療所 vol12:トレード手法は深く掘り下げて理解することが大事

本コーナーでは、独学で奮闘を続ける個人投資家と実際にお話をするなかで、その人の問題点を浮き彫りにし、解決策の提案や指導を行います。相談者が抱える問題は共通している部分が多く、多くの個人投資家の参考になるはずです。自分では気づけていない課題や解決策を、当クリニックの相談例を見ながら解消していただければと思います。

 

トレード手法は深く掘り下げて理解することが大事

 

今月の相談者:領家さん(仮名)、男性、FX投資歴8年

診断結果:トレードターゲット欠落症、損切りポイント欠損症

 

日足のトレードに変えていく

 

松下 FXトレードを始めた際に、参考にした情報は何かありますか?

 

領家 Aさんのサイトで勉強しました。

 

松下 現在行っているシステムトレードの手法は、どのように勉強していますか?

 

領家 システムの提供会社が、定期的にセミナーを開催していますので、毎回参加して勉強しています。

 

松下 現在、システムトレードと裁量トレードの2つのトレードを行っていますが、それぞれのトレード開始以来の収支はどうなっていますか?

 

領家 いずれのトレードも、収支はマイナスです。

 

松下 どちらのトレードも収支がマイナスということですので、現状のままではダメだということです。まずは、トレードスタイルから確認していきます。現在は、1日数時間の作業時間のなかで、60分足を確認してトレードを行っているとのことですが、60分足でのトレードを止めたほうが良いと思います。1日数時間の作業時間ですと、60分足を確認できる本数が限られてしまい、トレードチャンスを逃す可能性があり、機会損失が発生してしまいます。それを防ぐために、すべてのローソク足を確認できる、日足のトレードに変えてください。

 

 

トレードターゲットを明確にする

 

松下 次に、トレードターゲットについて、お聞きしたいと思います。システムのトレード、裁量のトレード、ともに明確なトレードターゲットを決めていますか?

 

領家 トレードターゲットというものを考えていませんでした。

 

松下 FXトレード、とくに、テクニカル分析を基に行うトレードには、トレードターゲットが必要です。トレードターゲットとは、通貨の値動き=チャートのなかに存在する特定の値幅やパターンなどです。カンタンにいうと、レンジ相場における逆張りをターゲットにするのか、トレンド相場における順張りをターゲットにするのかというのは、わかりやすいターゲットの例です。

今は、領家さんのなかで、トレードターゲットがありません。そこで、トレードターゲットを決める必要があります。トレードターゲットをカンタンに決める方法は、お手本とする人を決めることです。裁量トレードを始める際に参考にしたサイトや書籍がありますか?

 

領家 Bさんの書籍とレポートを参考にしました。

 

松下 それでは、当面はBさんがお手本であり、Bさんの行っているトレードが、領家さんのトレードターゲットということになります。Bさんの本は、すべて読み終えましたか?

 

領家 ざっと目を通しただけです。

 

松下 それではダメです。参考とする本は、繰り返し読んでください。本を読めば、自ずと環境認識やエントリーのルールが絞り込まれてきます。本を読むことで、トレードに使う道具やルールを決めてください。

 

 

トレードスタイル確認シートを有効活用する

 

領家 今回の事前課題に取り組んで気がついたのですが、自分のトレード用にチェックシートをあらかじめ作成していたのですが、いつの間にか売買に夢中になり、チェックがおろそかになっていました。

 

松下 トレード用のチェックシートは、トレードルールを確認するための大切なツールですので、これからは必ず確認してからトレードを行うようにしましょう。

 

領家 これまで話を聞いてきて、自分のなかでは、価格が下がっているところの底値を買いたいという気持ちがあると思います。これまでは、ルールなど考えず、何となく感覚で買っていました。

 

松下 領家さん自身の欲求である「底値で買いたい」というのは、ひとつのトレードターゲットになります。「底値で買いたい」というのは、下落してきた安値圏で買って、その後、価格が上昇して欲しいということですので、逆張りのトレードになります。

先ほど提案したBさんの本を読み進めるなかで、逆張りのトレードを紹介しているかどうかを確認してください。もし、Bさんの手法が順張りであれば、逆張りのターゲットを狙うことができません。逆張りを提案しているトレーダーをお手本にするか、それともトレードターゲットを順張りに変えるか、検討しましょう。

このトレードスタイル確認シートは、1枚のシートの内容を検討し決めていけば、自動的にトレードルールをつくることができるようにつくっています。Bさんの本を読む際に、このシートの内容を意識しながら読んでみてください。

 

 

損切りポイントは事前に決めておく

 

 

松下 事前課題で提出していただいた、直近のトレード記録を確認しましたが、このトレード履歴のなかの損切りは、事前に決めた損切りポイントではないですね。

 

領家 はい、事前に決めたものではなく、ポジションを保有するなかで、裁量判断で決済したポイントです。

 

松下 ここにも大きな問題があります。損切りポイントは、事前に決めておくものです。

 

領家 通常は、損切りポイントを事前に決めると思うのですが、利益確定のポイントはどうなのでしょうか。

 

松下 利益確定のポイントも、事前にある程度決めておきます。値幅で利益確定のポイントを決める方法と、チャートパターンや環境の変化で利益確定を決める方法に大きくわかれます。領家さんの目標とする、「底値で買いたい」というトレードターゲットであれば、値幅で利益確定のポイントを決めるのではなく、チャートパターンや環境の変化により利益確定を決めていくことになると思います。

損切りポイントを事前に決めていないというのは、ひとつの大きい問題を抱えています。損切りポイントを事前に決めておくことで、初めて適切なトレードサイズを決めることができます。損切りポイントを決めていないということは、リスク管理が曖昧になり、トレードサイズもいい加減に決めていると思われます。

 

領家 確かに、トレードサイズも何となく決めてきました。

 

 

ひとつの手法を深く掘り下げて理解し、実践する

 

 

松下 具体的な今後の方策を決めていきましょう。まずは、お手本となるBさんの本を繰り返し読みましょう。そのなかからトレードスタイル確認シートの、各トレードルールを決めるようにしてください。

 

領家 これまでいろいろと勉強し、各種のデータやトレード記録などもつけて、自分なりに一生懸命にやってきたつもりでしたが、肝心な自分のトレードの振り返りは行っていませんでした。今日の相談で、これまで自分としては、いろいろな人の良いところばかりを集めていたつもりが、すべてが中途半端になっていたことに気づきました。

 

松下 確かに、その通りですね。トレードの記録には、自分の感情や行動のすべてが集約され、ひとつの結果を導いていますので、常に振り返りながら、検討していくことが必要です。トレードで利益を上げるということは、都合の良い道具を集めるのではなく、ひとつの手法をとことん掘り下げて理解し、実践することです。

 

領家 キモの部分をしっかり押さえないとダメでした。

 

松下 領家さんは、各種の作業を継続するという貴重な習慣が身についていますので、これからは利益が上がる習慣に修正して、継続していきましょう。

 

領家さんへの処方箋

  1. お手本となるBさんの書籍の読み返し
  2. トレードスタイル確認シートからトレードルール決定
  3. 過去のトレード、記録を振り返る

 

(FX攻略.com 2015年5月号掲載)

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(ライター:104m)