2016年03月18日

投資家の診療所 vol20  ルールを明文化しなければ、結局は負ける

本コーナーでは、独学で奮闘を続ける個人投資家と実際にお話をする中で、その人の問題点を浮き彫りにし、解決策の提案や指導を行います。相談者が抱える問題は共通している部分が多く、多くの個人投資家の参考になるはずです。自分では気づけていない課題や解決策を、当クリニックの相談例を見ながら解消していただければと思います。

 

「ルールを明文化しなければ、結局は負ける。」

 

今月の相談者:中村さん 40代男性 FX投資歴3年
診断結果:トレードルール欠損症、

 

松下:FXの経験について、いつ頃から、どんなきっかけで始めたのか教えてください。

 

中村:リーマンショックの少し前に、職場の先輩に勧められて現物株投資を始めました。当時は日本株が上昇相場にありましたが、買ってすぐにリーマンショックが起こり、100万円の資金が30万円まで減りました。そこで一旦株を止めました。

 

その後、2012年にアベノミクスにより金融市場の上昇が始まり、環境が変わったと思い、FXを始めました。しかし、同じように資金が減りましたので、これは甘くないと思い、売買を中止し、それからはひたすら勉強を続けています。もう3年間勉強していることになります。

 

松下:具体的にどんな勉強をされていますか?

 

中村:ネットで様々なサイトやブログ、メルマガなどを読んで、そこから得た知識をノートに書き込んで、トレードアイディアを検討しています。すでにそのノートも2冊目が終わろうとしています。

 

松下:ノートを拝見すると、この内容はトレードアイディアの集積であり、散発的ですね。FXトレードを行い、長く利益を上げようとする場合、これらの散発的なアイディアを、トレードルールへと構造的に集約していく必要があります。これからは、ノートに書き込んできた内容を、トレードルールに変換していくことを心がけましょう。

 

中村:毎日、各種のサイトやブログを読みながら、ノートをつけていても、納得できないような、もやもやした気持ちがありました。

 

松下:それは、最終的なトレードルールが決まっていないからに他なりません。アイディアばかりが膨らみ、溜まっていっても、最後にどのような行動に落とし込めばよいのかが見えていないのです。FXトレードとは行動に他なりませんので、その行動の元となるトレードルールを決めていきましょう。

 

では、1つずつトレードスタイルを確認していきましょう。まず、トレードを行う作業時間ですが、14時から翌朝の5時と書いていますが、他にお仕事を持ちながら、このトレード時間を設定することは現実的ではありません。お仕事をお持ちの上で、FXトレードに臨むのであれば、一日一回の定期チェックでトレードが可能である、日足を使った売買に切り替えましょう。

 

中村:分かりました。1時間足のトレードから、日足のトレードに変更する場合に、トレードアイディアなどの違いはありますか?

 

松下:トレードを行う足を、1時間足から日足に変更する場合でも、トレードアイディアは同様に有効だと考えてください。両者の違いは、トレードスケールの違い、つまりポジションの保有日数が伸びるようなイメージです。

 

トレードの目標は、トレンドフォローと書いていますが、どの指標を使ってエントリー&エグジットを考えていますか?

 

中村:書籍や各種のサイトなどを読んで、ダウ理論に確かな優位性を感じています。ダウ理論を使ってトレードを行いたいと思っています。

 

松下:ダウ理論は、確かにトレンドの認識に有効な理論です。しかし、一言にダウ理論といっても、その取扱いには注意しなければいけません。特に、ダウ理論は、曖昧性を伴いますので、その点に注意する必要があります。

 

ダウ理論とは、隣り合う安値同士、高値同士を比較することにより、トレンドの発生および継続を認識する理論ですが、ここで安値とは何か、高値とは何かという定義を曖昧にしてしまうと、ダウ理論の認識そのものが曖昧になってしまいます。ダウ理論を解説し、採用するトレーダーは多いと思いますが、ほとんどの人が、安値と高値の定義を疎かにしてしまい、後々苦しむことになります。ダウ理論を使う上では、安値と高値の定義づけを行っていくようにしましょう。

 

安値と高値の定義を正しく行えば、結果的にダウ理論の定義も可能になります。こうして1つずつの要素を明らかにしていくと、次にはトレードルールの検証が可能になります。まずはトレードルールを自分の言葉で明文化し、次に可能な中で過去検証を行うようにしましょう。

 

今、参考にしている書籍は、何かありますか?

 

中村:「先物市場のテクニカル分析」が好きで参考にしています。

 

松下:各種テクニカル分析が解説されている本ですね。それを教科書として、何回も読み返してください。本を読む時に大切なことは、その本に書いてある内容が、実際のチャートや値動きの中に、どの部分に表れているのかを確認するようにしてください。

 

本がマニュアルだとすれば、チャートで確認することはシミュレーションだと思ってください。その作業を繰り返せば、そのテクニカル分析におけるトレードポイントがおぼろげながら見えてきます。本を読んでもトレードが上達しない人は、理論だけで終わってしまい、実際の値動きの中に理論を展開できないことが多いのです。

 

次にもう一歩踏み込んで、本に書いている理論が、リアルタイムの値動きでどう展開されているのかを確認してください。

 

中村:確かに、本を1回読んだくらいで、チャートの中で確認するようなことは行いませんでした。これから本を読み直し、チャートの中で確認するようにします。

 

松下:トレードルールを決めていく上でのもう1つのアドバイスは、具体的な値動きの中でのトレード目標を決めることです。実際には明確なターゲットを決めて、そのターゲットを捉えるためのルールを作り上げていきます。その意味では、まだ中村さん自身に明確なトレードターゲットが無いようですので、これを決めることをトレードルール作りのスタートとしましょう。

 

中村さんは、トレンドフォロースタイルを1つのトレード目標としており、上位の足において環境認識を行っています。上位の足を5種類上げていますが、これらの全ての足の詳細な条件を決めていますか?

 

中村:様々なサイトで、多くの上位足のトレンドを確認することが大切だと書いてあったので、そのまま採用したのですが、明確な条件を決めているわけではありません。

 

松下:5種類の上位足を確認することは、非常に煩雑で、条件付けも複雑になる可能性があるので、現実的ではありません。先ほど、日足で売買することをご提案しましたので、これからは週足と月足の2種類の上位足を確認し、環境認識の条件を決めてください。

 

中村:これまで色々なサイトを見ても、本を読んでも、最終的にトレードのイメージが湧かなかったのですが、奥が深く、1つ1つを具体的に決めていかないといけないのですね。これからもっと勉強して、トレードルールを決めます。

 

松下:これまで3年間の勉強の中で、知識やアイディアは十分に養われていますので、より具体的に構造化していくように頑張ってください。

 

 

中村さんへの処方箋
1.トレードを1時間足から日足ベースへ変更
2.トレードルールの明確化
3.「先物市場のテクニカル分析」の読み直しとチャートによる確認

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(ライター:104m)