2016年03月26日

投資家の診療所 vol21 ドローダウンがトレードルールの生命線

本コーナーでは、独学で奮闘を続ける個人投資家と実際にお話をする中で、その人の問題点を浮き彫りにし、解決策の提案や指導を行います。相談者が抱える問題は共通している部分が多く、多くの個人投資家の参考になるはずです。自分では気づけていない課題や解決策を、当クリニックの相談例を見ながら解消していただければと思います。

 

 

「ドローダウンがトレードルールの生命線」

 

 

今月の相談者:船津さん(仮名) 40代男性
診断結果:トレードルール検証不全、ドローダウン失調症
※今回の相談者の船津さんは、私が主催する「まこと投資スクール FXトレードスキル修得コース」に参加中の生徒さんです。

 

松下:投資スクールで検討していたトレードルールを変更したということでしたが、どんな点を変更しましたか?

 

船津:スクールで教えていただいたテクニカル指標の中で、チャートの過去検証を行うにあたり、どの指標が自分に合うかを考えてみました。最初はボリンジャーバンドを検討したのですが、単独ではうまくいかなかったので、RSIを組み合わせることを検討しました。

 

検証を続ける中で、ある年はうまくいったとしても、年を重ねるとルールに合わなくなり、トレードのパフォーマンスが悪くなるということを繰り返し、最初のターゲットから離れてしましっていることに気づきました。

 

そこで、基本に立ち返って、本を読んで、相場の本質に損益分岐点という考え方があることに気づきました。一目均衡表がその考え方に合っていると思い、できるだけシンプルに最新のルールを作りました。

 

松下:トレードルールを確認する限り、価格の動きや市場の原則との整合性は取れています。

 

船津:トレードイメージとしては、長く大きいトレンドが出た時に、流れに乗るトレンドフォローのイメージです。

 

松下:エグジットサインとして3個のパターンを検討していますが、この3個のパターンのいずれかのサインが点灯した時に、エグジットするという意味ですね。

 

船津:そうです、最初に点灯したエグジットサインでエグジットします。このルールについて、米ドル/円について検証を行ってみました。検証を行って気づいた点は、上昇や下落の角度が急激な、しっかりとトレンドが形成された年では、勝てるルールだと思いました。トレードルールへの評価なのですが、ルールの中身次第では、毎年勝つルールを作ることができるでしょうか?

 

松下:日足を使うようなトレードスタイルで、ある程度長いトレンドの発生をターゲットとするようなトレードルールで、単一の通貨で毎年利益を上げるルールを作ることは難しいでしょう。

 

このようなルールの場合は、数年をかけてパフォーマンスを評価し、加えて、トレード対象通貨を分散することにより、より利益を上げる確率を高くします。

 

船津:検証結果の評価として、ある年が利益だったか、損失だったかは結果論でしかなく、次の年が利益かどうかも分からないので、検証結果を1つの過去の傾向と受け止めて、実際の運用を行うしかないということでしょうか?

 

松下:その通りです。トレードルールの過去検証は、大数の法則に従うと考えて、できるだけ長く運用し、多くのトレード回数の評価を行います。そのためにも資金管理ルールを設け、厳格に資金管理を行います。

 

船津:今後の私の課題としては、米ドル/円以外の通貨でも検証を行い、より拡大していくことになるでしょうか。

 

松下:可能な限り多数の通貨で行い、より長い期間で検証を行いましょう。

 

船津:例えば、米ドル/円が保ち合っているトレンドを形成していない時間帯に、他の通貨がトレンドを形成することはあるのでしょうか?

 

松下:そのケースは、多分に存在します。

 

船津:トレード対象通貨を分散ことで、効率的にトレンドに乗ることはできるのでしょうか?

 

松下:ポートフォリオの考え方になります。トレンドフォローのトレードを行うために、より効果的にトレンドの発生を捉えられるように、トレード対象通貨を分散することは効果的です。

 

船津:この検証結果にある程度の信頼性が置けて、他の通貨でも同じようなパフォーマンスの結果が得られたとすれば、売買サイズを増やすことは可能でしょうか?

 

松下:今の時点で、ドローダウンの様子が確認できていないので、判断ができません。検証結果を踏まえて、リアルのトレードでの運用を開始するに当たっては、ドローダウンが最大の判断材料となります。現在の米ドル/円の検証においても、個々のトレード結果やサマリーだけでなく、ドローダウンを計測し、確認するようにしてください。

 

船津:今回の検証結果を見ていただいて、このトレードルールのパフォーマンス評価はいかがでしょうか?

 

松下:今の検証結果だけでは、十分な評価ができません。検証通貨数を拡大し、それぞれのドローダウンを確認し、トレードポイントなどを確認していくことで詳細に評価を進めていきます。

 

船津:過去検証は、地道に時間をかけてやるしかないのでしょうか?

 

松下:今日、お持ちになられたこのルールは、Excelのスキルをお持ちの方であれば、自動で検証が可能だと思います。

 

船津:それは、スキルがあると有利ですね。

 

松下:その特殊スキルを持ち合わせていない私たちは、ひたすら手を使って、時間をかけて検証を行います。

 

今回の検証で気になる他の点ですが、エントリーとエグジットのルールが複雑なので、検証自体にミスがある可能性があります。検証結果が良いのに、実際に運用を開始すると、思うようなパフォーマンスが得られない際には、検証過程のミスの可能性を疑います。

 

特にルールが複雑になると、ミスの可能性が大きくなります。今回一連のご相談を受けて感じることは、問題が起こった時に、その問題への対処を追加していくことで、元のルールが原型を留めず、複雑になりすぎている可能性がありますので、その点には注意が必要だと思います。

 

どんなトレードルールにも、欠点やデメリット、不得意とする値動きの環境や時間帯は存在しますので、それを踏まえた上で、本当に修正しなければいけないのか、それとも、その問題をデメリットとして許容するのか、判断した方が良いですね。

 

検証を行う際の鉄則は、1つの指標・条件を確認するということを、繰り返すことです。複数の指標・条件を一度に検証しようとすると、いずれの指標・条件がパフォーマンス結果に寄与しているかの判断が難しいです。その点、1つの指標・条件の確認であれば、その指標・条件が適切か、不適切かは、端的に分かります。

 

こうして検証を着実に続けて行けば、利益を上げるという目標へのトライが、雲をつかむ話ではなく、より具体的・明瞭にイメージできてくるのです。

 

船津:確かに、やっとここまでお見せできる形になりましたが、これまでは全く結果が出ず、途方に暮れるような感じでした。今日指導していただいた内容を参考にして、ドローダウンを確認し、さらに複数通貨での検証を拡大していきます。具体的な道筋が見えてきたことで、楽しくなってきました。

 

松下:焦らずに、着実に検証を重ねていきましょう。頑張ってください。

 

船津さんへの処方箋
1.ドローダウンの確認
2.トレードルールの精査
3.検証通貨数を拡大

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(ライター:104m)