2015年08月17日

投資家の診療所:vol10 値動きへの理解を深めるには投資日記を実直につける

本コーナーでは、独学で奮闘を続ける個人投資家と実際にお話をするなかで、その人の問題点を浮き彫りにし、解決策の提案や指導を行います。相談者が抱える問題は共通している部分が多く、多くの個人投資家の参考になるはずです。自分では気づけていない課題や解決策を、当クリニックの相談例を見ながら解消していただければと思います。

 

値動きへの理解を深めるには投資日記を実直につける

 

今月の相談者:財前さん(仮名)、男性・FX投資歴1年

診断結果:過去検証欠乏症 トレードターゲット欠損症

 

 

トレードルールの確立が大事だと思うように

 

松下 FXを始められた経緯から教えてください。

財前 職場の先輩がFXで利益を上げていると聞いて興味がわき、FXを始めました。最初は、インターネットの各種情報サイトで、知識や情報を一通り学びました。情報を見ていくうちに、理解が不十分な間は、自分で売買判断をするのではなく、証券会社の自動売買で運用したほうが良いと思い、証券会社の自動売買を利用して売買しました。しかし、利益は続かず、損失が続いたため、自分で勉強しようと思うようになりました。インターネットの情報から、松下さんの各種の動画と書籍「サイクル投資法マスターブック」を知り、サイクルを使ったトレードを検討するようになりました。

松下 本を読み、動画で勉強して、それまでとFXトレードに対する意識が変わりましたか?

財前 松下さんに出会う前は、トレードルールを確立しないまま、感覚に頼った売買を行っていました。松下さんの本を読んでからは、トレードルールを確立したいと思うようになりました。

 

過去の検証を行う方法とは?

 

松下 トレードルールの確立にあたり、何か悩みはありますか?

財前 サイクルを使ったトレードでも、他のテクニカル分析を使ったトレードでも同様だと思うのですが、過去の検証が重要だと思っています。しかし、実際に過去の検証を行ってみようとしても、その方法がわかりません。

松下 過去の検証とは、シンプルにとらえれば、過去の値動きやチャートパターンの確認です。トレードルールを作成したら、過去の値動きのなかで実際のトレードポイントを抽出し、パフォーマンスの集計を行い、トレードルールを過去の値動きに適用した場合の損益の傾向を確認します。

財前 サイクルを環境認識のルールとして採用した場合、当然、過去の検証においてもサイクルの想定を行っていく必要があると思います。その考えで、過去の値動きのなかにサイクルを確認してみようとするのですが、わからなくなってしまいます。

 

テクニカル分析の裏づけは100%ではない

 

松下 まず、サイクル論のセオリーを理解しましょう。そのうえで、サイクル論のセオリーが当てはまる値動きを探していきます。注意すべきは、市場の値動きのすべてが、セオリー通りの再現性を辿ることはあり得ないという点です。

サイクル論に限らず、すべてのテクニカル分析は、確率的な優位性を使う目的で体系立てられ、実証されています。しかしながら、その確率的な裏づけは決して100%ではありませんので、セオリーから外れた値動きも現れます。その場合、セオリーを適用しても当てはまらない、理解できないということになります。このようなケースでは、無理に判断して売買しようとせず、トレードを見送るなど柔軟に対応しないといけません。

過去の検証においても、セオリーに当てはまらない、理解できないような値動きが現れたときには、いったん判断を保留し、その後の検証を続けてみましょう。他の値動きではセオリー通りに動き、理解できる値動きも現れてくるでしょう。このときこそ、そのセオリーおよびトレードルールを使って利益を上げるチャンスなのです。

 

無理にサイクル論のセオリーでトレードしない

 

財前 「サイクル投資法マスターブック」のなかに、サイクルを使ったトレードの弱点は、長く続くダウントレンドにおける売りトレードと書いていましたが、この点はどのように対処すれば良いのでしょうか?

 

松下 通貨の価格変動においてもっとも重要なものは、「トレンド」です。トレンドとは、その通貨の値動きの偏りを意味します。サイクル論を使ってトレードを行うときにも、トレンド認識は非常に重要です。

サイクル論はアップトレンドにおける買いに対して、非常に強力な武器になりますが、ダウントレンドにおける売りを苦手とするのも事実です。弱点を理解していれば、その弱点を補う方法をあらかじめ準備します。長く続くダウントレンドのなかでは、無理にサイクル論のセオリーでトレードせず、トレンド認識を基本として、トレンドフォロートレードを行うようにします。

財前さんは、自分がトレードを行う目標や、ターゲットの明確な値動きや、チャートパターンを決めていますか?

 

自分が目標とするチャートパターンを探す

 

財前 明確な値動きやパターンの目標は決めていません。

松下 テクニカル分析とは、単純に考えればパターン認識です。過去に何度も起こった特徴的なパターンが、将来的にも再現される可能性が高いと考えて、そのパターンの成立を待っているのです。利益を上げるトレーダーは、自分が目標とするパターンを明確に決めて待っています。しかし、現在の財前さんは自分の目標パターンをもたず、曖昧な目標のままで売買を行っており、この状態では利益を上げることが難しいとわかるはずです。

先ほど解説した過去の検証も、いわばパターン探しのようなものです。自分が狙っているパターンが、過去のどの時点で現れ、どのような価格の動きを示したかを見ることで、そのパターンの将来的な利益の可能性を確認していくのです。その意味において、財前さん自身が目標とする値動きやチャートパターンというものを探し、決めるようにしましょう。

 

投資日記をつける

 

財前 目標が曖昧だというのは、何となく理解していたのですが、まだまだ値動きへの理解が浅く、目標を決めるに至りません。このような状態で、値動きへの理解を深めるには、どうしたら良いでしょうか?

松下 値動きに対する理解を深める方法として、もっともカンタンで確実な方法は、毎日投資日記をつけることです。投資家は、売買を行おうとすると、いろいろな感情や思惑を抱いてしまい、冷静に値動きの理解を深めることができません。

つまり、売買を続けている限り、値動きを理解することは不可能です。財前さんは、今の時点で値動きへの理解が浅いと気づいていますので、売買をいったん止めて、毎日、投資日記をつけてみましょう。

 

 

 

投資日記に書く内容は、注目している通貨とその日の価格、そして、そのときに素直に感じたこと、考えたことを書き留めるようにします。「これから上がると思う」とか、「買えば儲かりそう」というように、自分の感じたこと、自分の気持ちを素直に書き留めましょう。これを毎日続け、ときおり見返すようにしてください、

3カ月間続けていけば、自ずと値動きへの理解と自分の考えがまとまり、投資日記を止められなくなるはずです。こうして、半年、1年と続けていけば、確実に値動きへの理解を進めることができます。早速、今日から始めてみてください。

財前 過去の検証と投資日記という2つの課題が明確になりましたので、早速、帰ってからやるべきことを始めます。

松下 投資日記のポイントは、継続と振り返りです。焦ることなく、地道に続ければ、しっかりと投資力が身につきますので、頑張ってください。

 

 

財前さんへの処方箋
1.過去検証の再開
2.目標パターンの模索
3.投資日記の開始と継続

[`evernote` not found]
このエントリーを Google ブックマーク に追加
[`livedoor` not found]
LINEで送る
Pocket

(ライター:104m)