2016年03月29日

3月23日のニュース:鹿島の最高純利益のニュースから株式投資を考える

日本経済新聞2016年3月23日17面記事より
鹿島、純利益24年ぶり最高
今期700億円 国内工事の採算上向く

鹿島は22日、2016年3月期の連結業績見通しを上方修正した。純利益は前期の4.6倍にあたる700億円と従来予想(400億円)を大きく上回り、1992年3月期以来、24年ぶりに過去最高を更新する。首都圏の再開発など建設需要の拡大を背景に国内建築工事の採算が上向く。年間配当は前期比3円多い8円とし、株主還元を強化する。(日本経済新聞より)

 

この発表により鹿島の株価は22日以降も上昇、2日後の3月24日まで陽線で高値切り上げが続き、24年ぶりの純利益最高額更新が市場に好感されて、素直に買い進まれている様子が確認できます。しかし、このニュースと値動きを例に取って、本当にこの買いで利益が上がるのかを考えてみます。
図1:1812 鹿島 日足 2016年3月25日
160325鹿島日足

 

このニュースが発表された3月22日の終値は727円であり、仮にこのニュースが取引時間中に発表されて、このニュースを評価して株を購入した人は、概ね727円近辺で買うことができたと考えられます。またこの人たちの買いの心理としては、「最高純利益を更新し、業績も拡大しているので今後も株価がじゃ応召するだろう」といったものであろうと推察できます。

 

ここで一旦考えてみますが、このニュースを見て鹿島の株を727円で買い利益を上げるためには、後に同社の株を727円以上で買う投資家が現れなければならないという事実があります。もう1点、図1の3月25日時点の過去のチャートを見るだけでも、昨年2015年の6月や7月の時点で買っていた方が、はるかに利益が大きくなるという事実も見逃してはなりません。もし2015年の6月や7月に同社株を買っていたとしたら、500円台後半で買いを入れられたことになり、2016年3月22日の24年ぶりの最高純利益更新というニュース登場の際には、既に大きい含み利益を保有できることになります。

 

同じ視点でより長い値動きを確認するために、下記図2に同社の月足チャートを掲載します。

 

図2:1812 鹿島 月足 2016年3月25日
160325鹿島月足

上記図2において鹿島の長期の値動きを確認した時、最も魅力的な買いポイントは2009年11月の安値162円だったことが分かります。この2009年11月に、株式市場で何が起こったのか、あなたは覚えているでしょうか?私はよく覚えています。この日は、中東のドバイから、「政府系投資会社であるドバイワールドが多額の債務の返済繰り延べを債権者に依頼した」というニュースが飛び込んできたのです。世にいう「ドバイショック」の当日が2009年11月27日でした。その当日を前後する鹿島の値動きを、下図3にて確認します。

 

図3:1812 鹿島 2009年11月27日ドバイショック前後の日足
0911鹿島日足

上記図3の中心部分にある陰線の安値が、2009年11月27日ドバイショックの当日です。この日は、ゼネコン各社を中心に国内株式市場も大きく下落し、リスク回避の値動きは為替市場にも伝わり、急激な円高が進行したことを、今でも鮮明に覚えています。さて、この2009年11月27日の値動きですが、当日は出来高も急増し、鹿島を保有する多くの株主がニュースに悲観し、株を投げ売った様子が推察できます。しかし、皮肉にもこの日が過去30年以上の最安値となり、その後、株価は上昇を続け、本日解説した2016年3月22日に24年ぶりの純利益最高の報道を見て、700円以上の株価で投資家は買いを進めます。

 

ドバイショックの日には、200円を下回る価格から、なお悲観して株を投げ売り、24年ぶりに純利益最高を更新し700円を超えた価格で、ニュースに喜んで株を買っていく。この行動の連続に、私たちの望む株式投資の利益は存在するのでしょうか?

 

私は素直に、ドバイショックの2009年11月27日に鹿島の株を買いたかったと思いますし、さらにその株を保有し、2016年3月22日のニュースを聞きたかったと思います。そのためには、2009年11月27日時点で、勇気を持って鹿島の株を買えるだけの理由を自分の中に作らなければなりません。そしてその理由は、既に先人たちによって作られています。

 

そもそも株価とは、理論的には、その会社が将来にわたって上げる収益を下内の価値に換算したものであり、2009年11月以降に、鹿島が倒産することなく、収益を改善できれば、やがて株価は上昇するだろうと考えられたはずです。

 

また、私が得意とする「サイクル論」においては、「悲観による下落が形成する安値と、楽観や希望が形成する高値には、一定の期間で繰り返し現れる再現可能な周期が存在する」と考えますので、悲観の下落の中に、上昇のチャンスや兆しを探します。

 

また出来高の変化から見れば、底値圏でニュースの出現などを伴って、出来高を急増させれば、そこで市場参加者の投げが出切って、上昇を始める可能性がある、というのは少し出来高の変化を学んだ者にとっては、それほど難しい判断ではありません。こうして、それぞれの理論や指標を集積していけば、安値からの上昇で株を買い、長期に保有することも、夢物語ではなく、現実的な可能性になってくるのです。私も実際そうして、利益を上げてきました。

 

しかし、残念なことに、今の多くの個人投資家は、ニュースや報道で、「最高利益」や「好調な決算」という数字に飛びつき、上記のような確認や勉強をすることがありません。それが、どんな売買と損益につながっているかは、自分自身の売買記録と資金の増減を見れば、一目瞭然なのです。私は、2009年11月27日に東京の某所でドバイショックのニュースに触れ、国内市場の中でも特にゼネコン各社の値動きを見て、その後も解説を続け、7年が過ぎました。今回は、ドバイショックを前後したゼネコンの1社である鹿島の例でしたが、このような値動きは、いずれまたどこかの市場や銘柄で、別のニュースを伴って繰り返されます。その時に、あなたがどんな行動を取り、その結果、どんな利益を手にするのかは、あなたの今後の視点と勉強、行動にかかっています。そのことを、このニュースと値動きに確認してください。

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(ライター:104m)