2015年05月05日

第32回 投資を楽しむ:投資を楽しむために

長期的な視野に立って投資で利益を上げるために、必要なことは何か? それは、知識、理論、手法の習得や実践経験である。何の努力もなしに、利益を上げるようになることなどあり得ない。これこそが、功利主義(快楽主義)のパラドクスと呼ばれるものである。功利主義(快楽主義)のパラドクスとは、「快楽を得る過程において、その快楽を得るために努力や忍耐といった苦痛に耐えなければならない」という逆説だ。投資においても、長期的に利益を上げるという快楽を得るために、それまでに懸命な努力を行うという苦痛を受け入れなければならいのだ。それは、逆説というよりも、視点の違いである。あなたは、投資を楽しめるようになるために、それまでの過程において、投資で苦しまなければならない。その過程を経ることなく、投資の成功はあり得ない。

私は投資教室を行っているが、生徒である投資家の中には大きな損失を抱え、混乱して意見を求めてくる人もいる。私は、そういう人には一度全ての投資をストップするようにアドバイスする。なぜなら、この投資家にとっては、現在の状況そのものが苦痛となっており、その状況を解消しない限り、苦痛から逃れる術がないからだ。これに対し投資が苦痛なのではなく、抱えている含み損が苦痛なのだと誤解している投資家は多い。だが、決してそうではない。含み損という結果に目を向けるのではなく、その原因となっている投資行動そのものが苦痛を招いているのだ。だからこそ、その状況を強制的に解消させる。

人にとって、無知という状態は不安と恐怖を生み、苦痛を招く。無知の状態で、利益を手にし、幸福を増大させることなどできない。幸福を増大させるためには、自分が安全だと思える領域を拡大していくための知識が必要だ。

では、実際に投資において、長期的な快楽を得るための技術とは何だろうか? それは、リスクのコントロールである。リスクの変化が、私たちに幸福の増大や減少を連想させ、私たちの行動を抑制する。リスクのコントロール次第で個々の売買の結果も、長期の投資の結果も変わる。そのことに気づけば、幸福を増大させ快楽を手に入れるために、正当な苦痛の中で努力するという行為が始まる。長期的な視点に立って投資を楽しむための努力、リスクをコントロールする知識、技術の習得が始まるのだ。

(FX攻略.com 2014年4月号掲載)

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(ライター:104m)